1月22日(金)に都内で弊社のお客様ご主催講演会で池谷裕二先生の「脳を知って脳を生かす」というテーマでの講演を聴いてきました。
普段は実験中心の生活で今日が今年初めての講演会。
忙しくてなかなか講演ができないそうで弊社含めごくわずかの仲介業者からの依頼のみ請けている。
「脳の専門家、言い換えれば「脳バカ」で元来人前で話すのが苦手、講演も下手」と謙遜。(実は抜群に上手いしとても面白い)
大まかに「やる気」と「記憶」と「遺伝子」の3つのパートに分けての話。
「心」は「意識」と「無意識」
「無意識」が大切。
「意識」は氷山の一角、その下に広大な「無意識」が広がっているという言い方をしていた人がかつてはいた。
が、今は氷山の一角ですらない。
では「意識」とは何か?それは「飾り」、一見派手で目立つ。
しかし本質である「無意識」を全く反映していない。
それどころか「無意識」からすると邪魔な取って捨てたい飾りという程度の価値しかない。
(まるで禅問答のようだがとても興味深い)
目(脳)の錯覚例を列挙し実は「意識」が真実を反映しないことを証明。
ある映像を見せ指示に従うよう伝え、『握れ』という文字が出たら握って握力測定をするという実験。
この『握れ』という文字の前に1コマだけ『ガンバレ』というサブリミナル映像(実際には見えない)を入れたものとそうでないものとでは握る力は全然違う。
前者の方が2倍くらい強くなる。
被験者に訊くとなぜだかわからないが時々グッと強く握ってしまうと答える。
このことから「無意識」は素直で敏感なことがわかる。
また、一般のドライバーに対するアンケート調査で「あなたの運転技術は平均に比べてどう思うか?」という問いに7~8割が「上手いと思う」と答える。
ところが社会的地位が高い母集団、例えば大学教授に対する調査で「あなたの教え方は平均に比べてどう思うか?」という問いに何との94%が「上手いと思う」と目も当てられないくらいの結果になる。
これは脳とはこういうもので脳のクセを知らないで無意識に生きていることが罪作りであるということ。
これらの実験は「意識」が真実を反映しないことの確認。
無意識は意識でコントロールできない。
池谷先生の「笑顔という魔法」という実験のことが中学1年生の教科書に載っているそうですが割愛致しますので興味のある方はぜひ調べてみてください。
「笑顔」は自分が楽しくなるだけじゃなく、相手を楽しくさせるだけじゃなくて周りにある楽しいものを見つけてくる力まで高めてくれる。
つまり全ての側面において脳は出力を重視するということ。
笑顔という「出力」を作ると内面が形成される。
「ガッツポーズ」するとバカみたいだけれどやる気が出る。
やる気の出し方
朝どうしても起きなければならないのに凄く眠い場合にどうすれば良いか?
起きて動いて歯を磨いたり、顔を洗ったりすると目が覚める。
体を動かすという出力をすることで脳も目覚める。
作業を開始することで脳が興奮してくる、この現象を「作業脳」。
精神論大好き日本人は往々にして「やる気」を出すには「気合いだ」ということになりがち。
それもありだが、生物学的によりナチュラルにということは「始めちゃえ」ということ。
アルツハイマー病(以前はアルツハイマー型認知症と呼ばれていた)は遺伝性があまりない。
裏を返せば生活習慣が大切。
さて、一人で暮らしているお年寄りと、家族と仲良く暮らしているお年寄りとだはどっちがアルツハイマー病になり易いか?
後者、体を使っているかどうかがポイント。
一人暮らしは炊事掃除洗濯買い物全部自分でやるが、同居は「私たちがやるから」とやらせてもらえない。
家族と暮らしてはいけないとは言ってないので誤解しないで頂きたい。
例外もある、仲の悪い家族は大丈夫。
お嫁さんがキツく「おばあちゃん、自分のことは自分でやってよね!」と言うような場合。
突き詰めると親孝行って何なのかがわからなくなる。
最近、国が言わなくなった「バリアフリー」
どうもバリアフリーにしたお宅でアルツハイマー病を量産しているらしい。
「おじいちゃん、段差があるから気を付けて」、これ、もの凄い大切な事。
身体が主導権を握っているから。
「心はどこにありますか?」と訊かれ脳研究者は口が裂けても「脳にある」とは言わない。
心は身体にある。
前述の「ガッツポーズ」するとやる気が出る、やる気が上腕二頭筋にあるとしか言いようがない。
心は身体を含め周りの環境に散らばっている。
これが私たちの真の姿。
記憶は出力が効果的
ものを覚える、記憶するにはどうすれば良いか?
「スワヒリ語を覚えて下さい」という実験。
なぜスワヒリ語か?
スワヒリ語がペラペラな人はいないであろうから公平(になる)。
入力と出力、どっちを重視しながら勉強するかで結果が違ってくる。
前者重視は徹底的に繰り返し頭に叩き込む。
後者は覚えた知識を取り出してみる、例えば確認テストをする、人に話す、まとめ帳を作るといった思い出す、情報を引き出すというトレーニングをする。
結果は出力重視の後者の方が高い。
脳は入力よりも出力重視である。
昨年初めて脳はなぜ出力すると記憶が定着するのかが解明された。
記憶力は年齢と共には衰えない
記憶の話なら大体わかると言うとほぼ間違いなく出るワンパターンな質問。
「最近年取っちゃいまして何とかなりませんかね、記憶力衰えちゃって」、年を取ると記憶力が衰えたと感じることが気のせいだという4つの理由。
①「あれなんだっけ?あのひと誰だっけ?若い頃なら簡単に出てきてたのに」などなかなか思い出せない原因。
そもそも若い頃、それも小学生の頃知り合いは何人いましたか?
つまりは覚えておかなければならない人の数自体少なかった。
②「最近なかなか覚えられないんだよね、昔はもっと覚えられたのに」
学生時代は今より簡単に覚えられましたか?
若い頃試験前に復習したり単語帳作ったり勉強しましたよね?
その頃の中心は勉強が占め、現在よりは勉強していたはず。
中には「若い時に何にもやらなかったよ」という何の自慢にもならないことを言う方もいるが・・・。
例えば見たこともない英単語50個のリストを渡され「来週テストをしますので覚えてきなさい」と言われ、それを見てすぐに覚えられましたか?
覚えられなかったですよね、やはり単語帳を作って徹底的に繰り返し一生懸命覚えましたよね。
あの頃も覚えることは大変でそれに見合う努力をしていたはず。
社会人となり名刺交換し貰った名刺を覚えようと左上にパンチャーで穴をあけ単語帳のように朝昼晩と一日中見てる人はいませんよね。
仮にそうしたとしてもなかなか覚えられないのはそもそも覚えようとしていないということ。
③「すぐ忘れちゃうんだよね、つい最近会ったあの人の名前何だっけ?」
そもそも「つい最近」っていつですか?
「つい最近とは具体的に何日前のことですか?」と小学生にくとだいたい「3日前」と答え、「一週間」と答える子は非常に少ない。
また、「10日前」は皆無で、「10日前はつい最近ではないの?」と訊くと間違いなく「大昔」と答える。
大人の“つい最近”は10日前?、1か月前?、もっと行きますよね。
半年前のことでも平気で“つい最近”と言う。
つまり実際には速くなっている訳ではないが、時間の進み方が速く感じられるようになったから。
④「とはいっても度忘れが増えているような気がする」
年齢による度忘れの頻度の調査で、子供も大人も年配者も同じという結果、増えていない。
ただ子供と大人の度忘れで決定的な違いが1つだけある。
子供は度忘れしても「ああ、年取ったな」とは思わない。
「年を取ると記憶力が衰える」と俗に言われているので気になりそう思ってしまう。
これが俗説であることを徹底的に証明した論文がある。
18~22歳の若者と60~74歳の年配者の集団に「心理テスト」と称し同じ問題をテストすると正解率はほとんど変わらない結果。
一方で別の18~22歳の若者と60~74歳の年配者の集団に「暗記テスト」と言い記憶力を測定しますと伝え「心理テスト」と称したものと全く同じテストをすると18~22歳の若者と比べ60~74歳の年配者の正解率は半減。
年を取っても記憶力は衰えない。
記憶を司るのは「海馬」、ここからシータ波(興味を持っている時に出る脳波)が出ている。
歩くことでたくさん出る。
それも初めて来た所を歩くことでものすごく強いシータ波が出るので積極的に散策して下さい。
興味を持ってさえいれば若い人と同じ、興味を失ってしまえば一見記憶力が衰えたように感じるということは本当。
生きることに慣れてしまったから記憶力が衰えたように錯覚する。
これが5つめで真理だとも言われている。
マンネリ化がいかに怖いか?
灰色の点をじっと見つめていると見えなくなるという実験をしてわかり易く。
脳が存在を消してしまう。
私事で恐縮ですが結婚して14~5年経ちますが最近どうも妻の頭の中で私の存在が灰色の点に・・・、これ以上は切なくなるのでやめておきます。
遺伝子の可能性
人は99.9%同じ遺伝子を持っている。
ただ1個だけ違う、これを「スニップ(SNP)」という。
これからの社会の重要なキーワードになると思う。
変わり易いホットポイントではっきりとはわかっていないが数百万あるといわれ、これが世界中誰一人同じ人がいないという状況を作り出している。
皆固有のSNPを持っている。
今世界的にこれを調べて知っておこうという流れになっている。
これがわかれば将来の病気のリスクがわかる。
同じ癌でも何癌か、場合によっては100%の確率でなってしまうということがわかる。
今は病気になったら病院へ行くがこれはおかしい。
株価で考えればすぐわかる。
株価が下がってから株を一生懸命売っているのと同じ。
病気を治療する時代は終わった、これからは先手を打つ時代と言われだした。
間違いなく社会保障費の大幅な削減に繋がる。
現時点で全国民が遺伝子検査をすれば医療費が1/10になるという試算がある。
だからお医者さんは反対している。
特に日本は規制が厳しく遺伝子の分野では非常に遅れている。
一番進んでいるのはアメリカ、次は中国。
実際アメリカでは既に民間企業であるGoogle(正確には100%出資子会社の「23andMe」社)が$99で遺伝子検査を行っている。
自ら実際に遺伝子検査をされ、その結果を元に究極の個人情報を公開しながら講演。
病気のリスクで「痛風」とあったが調べなくてもわかっていた。
既に痛風だから。
遺伝子は★(1~4個)で表され、星の数で努力で何とかできるかどうかがわかる。
4個は100%努力しても無理、3個は70~80%、2個は半々と続く。
100万のSNPを調べてくれるが現在わかっているのは1万ぐらい。
ただし毎日のようにたくさん解明されていくので「今月わかったあなたの病気」いうメルマガが毎月届く。
がっかりしなくても大丈夫、「あなたがなりにくい病気」というメルマガも届きますから。
病気の遺伝子より健康の遺伝子の方がはるかに多い。
つまり遺伝子検査をして怖くなるよりは安心する要素の方が圧倒的に大きいし、どこに気を付ければ良いかがわかる。
病気以外のこともわかる。
親の出身地。
両親ともに静岡県出身とかではなく、500年前の出身地がわかる。
お酒に関しても飲むと赤くなるか、酒に強いか、酒が好きかがわかる。
ちなみに池谷先生曰く「赤くならずにお酒に強くお酒が大好きというアル中まっしぐら」だそうです。
「禿げるか」(★★★★)どうかは100%遺伝子で決まるので努力しても意味が無い。
ダイエット(★★★)も運動で痩せるか、食事制限でやせるかの2種類しかない。
「記憶力が良いか」、「失敗したら学習するか」、「浮気性か」(この遺伝子を持っていると離婚率が約7倍高い)など。
IQ(★★★)は複雑な知能なので1個では決まらずにいくつかの遺伝子で決まる。
池谷先生は普通くらい(だそう)。
偏差値でいうと53~55くらい。
対して奥様は全ての項目で上回る極上の遺伝子を持っていた。
それがわかった後の夫婦の関係がビミョーに。
奥さんに「あなた、その程度のIQで私に何言ってるの?」と言われ言うことをきいている内に夫婦喧嘩が無くなった。
池谷先生のマッスルパフォーマンス(筋肉の性能・★★★★)遺伝子はオリンピックの短距離走で金メダルを獲る人と同じだった。
今さら言われてもね。(自虐的に)
実は子供のころから足が速くずっとリレーの選手。
でもスポーツが好きではなく、部活、体育会系はとんでもないというタイプで吹奏楽部か帰宅部。
かたや友人で陸上部、朝練・夜錬し少しでも速く走りたいと血の滲むような訓練をしていて結果を出せないし私の方が速い。
これは相当難しい問題をはらんでいて、さてあなたが担任ならどちらを褒めるべきか?
「池谷褒めますか?褒められませんよね、たまたま親から良いものをプレゼントして貰っただけだし、この才能活かしていませんからね。」
じゃあ陸上部の友達褒めたら良いのか?
「本当は才能が無いのにね・・・、4つ星なんですよ。努力でひっくり返らないんですよ。にもかかわらずいつか速くなるかもしれないと青臭い夢を抱き、うだつの上がらない練習に時間を費やしている訳ですから。」
こちらも難しい。
遺伝子を調べてわかったこと、人は生まれながらにして不平等であるということ。
教育現場にいると平等でなければならないが、実は平等という権利は恐ろしく残酷で、もしそうあることができなかったとしたら全てその子の努力不足ということになってしまう。
例えば算数ができない子供がお母さんに叱られる、でも一生懸命やってできないとすると人口の10%は算数ができる遺伝子を持っていないのでそれに該当すると考えられる。
というかお母さんがその遺伝子を持っていないからこの子が持っていない。
そういうお母さんは学校や塾に電話して」ちゃんと教えているのか!」と文句を言う。
だから平等はやめましょう。
慶応義塾大学の教授が「差別を理由に遺伝的差異を認めたがらないとしたら、もし差があったら自分はそれを理由に差別するぞと宣言しているのと同じ」と言っている。
差がある事実を見ない、臭いものに蓋をするという態度自体が差別。
だから差があることを認めそこからスタートしましょう、と。
もう一つリチャード・ハーンスタイン氏の言葉。
「単に環境を平等にしただけではかえって遺伝的な差異が顕在化する」
これが今の学校教育。
「あなたは平均以上か」という問いに多くの人が「はい」と答えるダメな社会の大きな一つの問題点かもしれないと現在の教育に提言され締め括られた。
知らなかったこと、難しいことをわかり易く、驚きの内容や実験での証明、まさに目から鱗状態、さらに笑わせ方が非常に巧く、オチがちゃんとある見事な“論理的”構成でもっともっと聴きたいと思わせる素晴らしい内容の講演でした。
最近はTVにもちょくちょく出演され知名度も急上昇中ですから講演料が上昇前の今がベストな依頼時だと思います。
必ずご期待にそえる講師です。
余談ですが「ガンバレ」のサブリミナル映像を当社社員のPCに組み込めるソフトはありませんかね?と先生に伺いましたら苦笑しておられました。
きっと社長はみんな欲しいと思うだろうなあ・・・、法に触れなければ。
1月21日(木)に都内ホテルで弊社新規のお客様ご主催講演会で片山善博先生の「真の『地方再生』と日本の将来」というテーマでの講演でした。
お客様は観光業に従事されておられる経営者の方々でした。
片山先生は余裕を持って会場入りして下さり控室で主催者のトップの方々との様々な会話の中で共通のお知り合いで片山先生の同級生の方から子供時代の先生のあだ名が「おっちん」で、いつも成績がダントツの一番でそこから落ちたことが無いのでそう呼ばれていたとお聞きになられたというエピソードが、そのトップの方から紹介され盛り上がりました。
さて、講演は現在の日本が抱える問題点から入られました。
人口減少社会と「消滅可能性自治体」
特に地方は人口減少⇒成人前後に都会へ流出というダブルパンチでこのまま何も手を打たないと2040年頃には約半分の自治体が消滅すると言われ「消滅可能性自治体」という実名を挙げてのレポートが出された。
従って安倍政権の“地方創生”という政策は若い人たちに地方へ残ってもらうことでの地方再生が狙いである。
が、今のままでは上手くいかないのではないかという危惧を持っており、何とかできないかとやきもきしている。
また、20代の頃から仲良くしている石破茂氏が担当大臣なので上手くいって欲しいと願ってもいる。
地方の活力が減退するのはなぜか
地方経済停滞の根本的原因
・若者の流出
・雇用が少ない
・下請け経済構造になっているので収益性が低い
・地域のお金の流出、特にエネルギー支出が大きい
地域の外へお金が出て行かないようにしなければならない。
国の政策と地方の課題との間のズレ
地方創生の目玉としてほとんどすべての自治体が発行したその地域でしか使えない商品券。
これではお金の流出も止められないし雇用も増えない。
全く効果が無いとは言えないが地方創生という観点から見れば少しピントがズレている。
お金の流出の最大要因であるエネルギー支出を何とかする為にどうすれば良いか?
耐乏生活を送れば良いということではなく、自前でエネルギーを作る。
鳥取県知事時代には当時はまだ珍しかった風力発電施設を作り、長い目で見て少しずつ「ちりも積もれば」ということでやってきた。
本来はそういう所に地方創生の予算を使うべきだったのではないかと思う。
地方の再生には何が必要か
企業誘致は「花嫁一人に婿十人」でなかなか難しい。
特産品開発も一気に爆発的に売れてということは滅多にない。
そうした中では、やはり“観光”が大変重要になるのではないか。
地方の再生と観光振興
観光とは「人がお金を持って来てくれる」こと。
貿易でいう所の輸出と同じ経済効果がある。
これを盛んにすることは地方創生において地域にとっても大変有効である。
「観光」は裾野の広い総合産業。
これを活発にすることで地域に雇用も生まれ活性化される。
ただし日本中で同じように行われるので良い意味で地域間競争に勝つよう努力し、全体として需要を増やし底上げしていかなければならない。
地方自治をライフワークにし、知事職を離れた現在は大学で「地方自治論」の教鞭をとり地域振興や観光行政を注意深く全国的な視点で見ていると「観光」という面でいくつか気付くことがある。
地域イメージの良し悪しがあること。
イメージの良い所に共通していると思うことは文化、歴史、伝統を大切にしているという印象を受ける所。
知事時代にお隣の島根県を見て文化、歴史、伝統が重厚だなあと常に思いそれを意識していた。
地方自治をやっていると県の名前と県庁所在地の名前が一致しない所が結構評判が良いことに気付く。
少し話は逸れるが県の名前がどのように決まったか?
実はルールめいたものがある。
例外もあるが県庁所在都市と県名が一致している所は元お城があった所に県庁を置いてお城があった都市の名前を県名にした。
鳥取は鳥取城があった鳥取市の鳥取を県名にした。
しかしお隣の島根県の県庁所在地は松江市、松江県となぜ言わなかったか?
地方自治の初っ端、端的に言うと薩長藩閥政府の一種の嫌がらせだった。
どういうことか?
戊辰戦争の時のB級戦犯という扱いをされそのようになった。
さらに会津若松や弘前、米沢のようにいわばA級戦犯はお城のある所に県庁を置いてもらえなかった。
これらの県は県庁所在都市と県名が一致しているので一見ルールに則っているように見えるが、実はお城があった所に県庁を置いていない。
ともあれ、先般のような扱いを受けた都市ほど、それをばねにして文化、歴史、伝統を大事にして地域の価値を守っていこうという気概があったのかなと思う。
鳥取城は明治維新の時に解体され薪燃料として売られたそうたが、松江城は残って国宝になった。
こういう歴史の違いが観光という面でも影響しているのかなと思う。
やはり文化、歴史、伝統は地域の財産として重要。
新しいものを追いかけるだけで古いものを捨てていくことは文化的に根無し草になってしまうことと同じ。
各県の観光は商工労働行政であることが多い。
ひと昔前の観光行政は旅館組合の相手をしていて、観光課長の最大の仕事は旅館組合の組合長の機嫌を損ねないことだった時期があった。
つまり業界行政だった。
しかし観光は業界を発展させることにあるのではなく、多くの人に来て頂き楽しんでもらうのが究極の目的。
それにつれて業界にも活気が出てくる。
鳥取では「文化観光部」を作り文化コンテンツとリンクさせる形で文化的知的財産を外に発信させる人たちの集団に生まれ変わるように組織改正を行った。
地方の再生と自治体の独立
お集りの皆さんは、日ごろ気がつくことをぜひ最寄りの自治体に積極的に提言したり、文句を言ったりしてもよろしいのではないでしょうか。
自治体の改革で一番肝心なのは地方議会の改革。
アメリカのように議会が市民の広場のようになり地域の住民や企業・団体が集まり意見が結集されるようなものにしなければならない、と締め括られた。
硬軟ミックスだが「硬」の部分もわかり易くお話しされ、とても内容が濃いけれども授業のようではなく、聴衆を飽きさせずに「なるほど」と思わせ、少し笑いもありお客様にピッタリのカスタマイズして下さった講演で大変主催者にも感謝され大成功でした。
さすがとしか言いようがありません。
講演終了後は大学へ急ぎ戻られるご予定でしたが時間ギリギリまで控室で主催者の皆様とご歓談下さいました。
1月19日(火)に都内で弊社創業当時の最初のクライアントで41年間お声を掛け続けて下さっているお客様のご主催講演会で富坂聰先生の「日本人の知らない中国の現実」というテーマでの講演を聴いてきました。
2014年11月に北京で開催されたAPEC。
中国が大事にした3つの国。
アメリカ、ロシアと何と三番目はインドネシアだった。
APECが始まる直前の中国内でのAPEC関連報道を見ると何と初っ端がインドネシアのジョコ大統領の大特集。
また記念撮影の際に周近平夫妻の隣にジョコ大統領という立ち位置を見ても既にこの時点でインドネシアの高速鉄道は中国が受注することが決まっていたということが見て取れる。
日中国交回復の裏事情。
中国が靖国に参拝すると怒る本当の理由。
中国と米、露関係の現状について。
日本人はほとんど知らない欧米とロシアの緊張関係とそれが中国に与えた影響。
国際関係は大国の“天気”で決まる。
とりわけ極東アジアは米中関係による。
中国人の爆買い
タクシーのドライバーから日本語ができない中国人を築地まで乗せ料金が3500円、メーターを指差すと間髪入れず4万円出してきたが受け取らなかったという話を聞き「彼らは痛くも痒くもないので次回からはぜひ受け取って下さい」と言った。
なぜか?
中国の小さな市の課長が一昨年収賄で捕まった。
自宅に積んであった賄賂が現金で日本円で38億円。
長いこと放置してあったらしく札束がカビの一種のうどんこ病にかかり白く粉を吹いていた。
査察官たちは事前に察知していたので銀行からお札のカウンターを14台借りて行ったが6台壊れた。
この課長が捕まって更にわかったことがある。
現金だけではなく中国各地に日本円で7000万円~1億円するマンションを61戸も持っていた。
爆買いをしているのはこういう官僚で賄賂をもらっている人たちですから。
現在1日に中国国内で処分される官僚は500人、年間18万人以上。
公用車をマークし検問で停めトランクを開けさせると必ず出てくる「高級たばこ」。
吸うものではなくパチンコの景品交換所のような換金所に持って行くと現金に換えてくれるいわば“景品”。
これが出ると三択で選ばせる。
①お前の物か?
②誰かにあげる物か?
③誰かから貰った物か?
どれを選んでもアウト、逮捕される。
こうやって処分していく。
従って羽振りが良くてお金を持っていると思われると密告されるので遣わない。
留学時代の中国人の友人。
現在52歳、生まれてから一度も働いたことがない。
企業に土地を貸し莫大な賃料を得、毎日博打三昧で両親も働いていない。
学生時代はキリッとした顔がもの凄いバカな顔になっていて驚いた。
北京に住んで不動産を持っている労働者は10万円の給料でも2億円の資産を持っているので爆買いできる。
株が下がっても現金や株で持っている資産は10%なので爆買いには全く影響が無い。
裏を返せば不動産価値が下げ止まらなくなるとパニックに陥る可能性がある。
今中国ではネット上で悪事を働いたターゲットを絞りありとあらゆるプライバシーを暴露し吊し上げることが流行っている。
公称年収80万円と言っていた男がしていた時計が350万円の高級時計だったことから「時計兄貴」と呼ばれ、彼の先輩は公の場で時計を外したがポケットが膨らんでいたために高級時計をしている写真を捜し曝され「無時計兄貴」と揶揄されている。
温州市の川で少女が溺れ警察官が飛び込み救助したが意識不明の重体になってしまった、助けた警察官が。
想像を絶する汚染された川の水を飲んでしまったから。
報道が過熱し大騒ぎに。
三日三晩意識が戻らなかったが何とか一命を取りとめた。
付いた病名が「汚水遊泳後遺症」。
なかなか中国も洒落てるなと思った。
日本でも報道された「溝鼠族(どぶねずみぞく)」。
中国ではどんなに良い大学を卒業してもコネ(紹介者)がないと就職できない。
最も絶望しているのは頭の良い子を持った貧しい親。
北京大や精華大に入った、その子供の代には逆転してくれるだろうと思っていたらコネが無いために溝鼠族。
コネさえあれば四流大卒でも就職できる。
今米中関係は経済において良い関係にある。
しかしちょっとぶつかる可能性が出てきた。
今後最も大きなトレンドの最先端の人工知能(AI)においては鬩ぎあい、アメリカはお金を持っている中国と投資協定を結びそこには投資させないようにした。
スマホで失敗した日本はもう一度世界のホットポイントであるAIに絡めるよう努力しなければ生き残れないかもしれない。
2016年はそこがポイントになるかもしれない。
元々弊社のスタッフの間では感じの良い先生で通っており、そのままのにこやかで柔和な感じで声もソフトで低い聴き易く、内容も良く、笑いもありコストパフォーマンスは非常に高い講師です。
家庭でも良きパパのようでプライベートなお話も帰りの車中でたくさんさせて頂きました。
1月15日(金)に都内で弊社お得意様ご主催の講演会で萩原智子先生の「目標達成の極意 ~克己心~」と題しての講演を聴いてきました。
紹介ビデオを約10分、その後登壇。
ハギトモの愛称で20歳の時にシドニー五輪に出場。
第一声「現在36歳、ハギトモ老けたなあと思われてる方もいらっしゃるかもしれませんが」と改めて自己紹介。
身長当てクイズ、何センチでしょう?(今後も講演でクイズとして出題されるでしょうからここでは正解を控えさせて頂きます)
バレーボール選手に間違えられることも多々あるほど。
水泳との出会いは小2の時。
泳げなくて悔しくて始めた。
私の日記に記してあった小2の私に父が言った言葉「やると決めたら最後までやり抜きなさい」
小6の運動会で170cmを超えていた。
やはりイジメに遭った。
ジャンボ、電信柱、富士山、よく言われたのが和田アキ子(さん)と言われた。
泣きながら帰宅。
自分に自信が持てない日々。
小6の時に見たバルセロナ五輪で岩崎恭子さんが金メダル。
オリンピック選手になりたいと言った時指導者が言ってくれた言葉。
「智子は手も足も体も大きい、智子にしかできない泳ぎをすれば世界で通用する選手になれる、頑張ろう」
初めて背の高さを褒めてくれ肯定してもらえたことで自信を持てるようになり真剣に向き合えるようになった。
振り返るとこの言葉が自分に与えた影響の大きさを実感している。
今指導者として後輩たちに背中を押してあげられるような言葉を発したいと思っている。
『克己』
たくさん負け、挫折を経験したから思うこの言葉の大切さ。
己に打ち克つことともう一つ自分の心に負けてしまうこともあるけれど負けたまま終わらないという二つの意味があると思っている。
ピンチをチャンスに変えてくれた母の言葉。
中3の時、日本選手権の3か月前に足を捻挫。
練習に行かない私に「足がダメなら手があるじゃない」と。
単純な私は「なるほど」と思い練習し、2週前に完治し練習不足でちゃんと足を使える状態ではなかったが全身で泳げるようになった。
そして指導者が大会前日に掛けてくれた言葉。
「自分にできることを3か月間全力でやって過ごしてきた。私は見てた、一生懸命頑張ってた。明日の試合は120%出そうと思うな。今できる100%を出し切る準備をしなさい。」と言われ今の100%で良いんだと気持ちが楽になり臨んだ結果自己ベストを記録し表彰台、そしてジュニアの登竜門であるアメリカ遠征のメンバーに選ばれた。
一気に4秒も縮めたことで日本歴代2位の記録となりただ速いだけなのに偉いと勘違いしてしまった。
天狗になり(指導者に対して)反抗期が4か月弱。
これが4年間のスランプを招いた。
ウクライナの選手たちとの出会い。
日本はウェアなどすべて支給されるが母国の経済事情でウクライナの選手たちはどこの国の選手かわからないほどジャージはバラバラで擦り切れ、破れた水着を2~3枚重ね着して練習のみならず試合までも。
宿泊も試合会場にほど近い高級ホテルに泊まっている日本の選手とは違い、バスで1時間以上かかる水しか出ないシャワーのホテルに。
彼らは食事もハンバーガー1個と全てが対照的。
そんな中で彼らは「自分たちには夢も希望もあるからどんな環境の中でも頑張れる」と言い切った。
そして10人の選手団の内5名は表彰台、残り5名も8位以内で入賞と結果も日本選手団の成績を上回っていた。
この時恵まれた環境の中にいる日本選手たちの「当たり前」は「ありがたい」ことなのだと痛感し、もっともっと頑張らなくてはいけないし感謝しなければと思った。
先輩やライバルから学んだこと。
目標を達成するには「~だったらいいな」では無理。
何が何でも達成するんだという強い気持ち、覚悟が必要。
強さと優しさは表裏一体。
どちらが欠けても勝てないと思う。
シドニー五輪、200m背泳ぎ決勝の結果、0.16秒差で4位、メダルには届かなかった。
悔しくて悔しくて10年間心の整理ができなかったが、弱い自分と向き合い自分の弱さを見つめ直し、全力を尽くした4位という結果をきちんと受け止めやっと整理することができた。
24歳で引退、結婚し、取材で北京五輪に行きもう一度選手でオリンピックを目指そうと5年のブランクを経て再び前例の無い28歳で現役復帰。
30歳で再び日本代表にと強い覚悟で臨み実現。
周囲に支えられ自己新、日本記録もマークすることができた。
その矢先婦人科系の病気を患い入院、手術、リハビリ。
退院ご主人の言葉もありオリンピック代表選考会までの10か月を死にもの狂いで頑張れたこと、結果は代表の座こそ掴めなかったがそれとは違う人生にとって大事なものを掴めたような気がする。
(ラストになってしまった)レース後に感謝の気持ちを会場に来ていた関係者の方々に伝え、恥ずかしがり屋のお父さんは逃げ回っていたが最後に“捕獲”し、ハグし抱き合い「お父さん、ありがとう」と言ったら、口下手のお父さんが耳元で小さな声で「水泳やってきてくれてありがとう」と言ってくれた。
涙が出た。
この言葉が今の自分の支えになっている。
現在は日本水泳連盟の一員として笑顔と水泳の普及活動を行い、水泳からプールから広がる笑顔の輪を大事にしたいと思っている。
笑顔は優しさのシンボルマーク、優しさは強さでもあり、そういったことを水泳を通じ東京オリンピック、パラリンピックに向け広げていきたいと考えている。
成功、失敗、挫折、復帰、二度の引退、そして現在に至るまで36歳という若さで多くの経験をされ、様々な言葉に奮い立たされ、背中を押され、考えの切り替えをさせてくれたり、気を楽にさせてくれたりしながら、周囲に感謝を忘れず支えてもらいながら自身の目標を達成していく生き様に経営者は共感する所が多々あると思います。
時間が無くなり今日はトビウオJAPANの話は出ず、個人競技に見えがちな水泳が実はチームプレーだということが聴けなかったのは残念でしたがコミュニケーションやチームワークの大切さ、モチベーションアップのメソッド、組織を統率することなど様々なジャンルでのお話が可能です。
講演終了後特別に懇親会も少しお付き合い下さり、主催者の皆さんと歓談され大変喜んで頂けました。
控室でご家族のことなどもお話させて頂きながら、講演に対してもっと上手くなりたいとの意欲が旺盛で、これからますます上手になっていくだろうという期待が大いに持てる講師です。
1月14日(木)に都内で弊社お得意様ご主催の講演会で岩田公雄先生の「2016年日本の進路を読む」と題しての講演を聴いてきました。
当日は学習院大学での講義終わりで会場にお越し頂きました。
180cmは軽く超え、体格もがっしりされ、すぐに岩田先生だとわかる風貌でTV同様のソフトで柔らかく、ニコニコされ感じの良さからいかにも人柄良さそうという正にそのままの先生でした。
控室では主催者の皆さんと開始ギリギリまでにこやかに歓談され、今日は時間も大丈夫で「いける口ですから」と講演終了後は懇親会へも快くご参加下さいました。
さて、講演の方は冒頭で2016年は後に振り返った時に節目というか変化の年になるのではと思っていると口火を切られた。
2015年暮れから2016年に入っての出来事。
ISによるパリのテロ、イランとサウジアラビアの断交、原油安、株安、極東アジア情勢など不安要因が多々ある。
1986~89までフィリピン マニラ支局長。
天安門事件の時も現場へ取材に行った。
沖縄の基地移転問題で鳩山総理時代に県外、海外と言われ腹案があるとのことだったので自費で取材もしたが腹案はなかった。
小泉元総理との出会い、安倍総理とのこと。
安倍さんと初対面の時、おそらく40歳少し前くらいだったと思うがやれるなら総理をと意欲を見せられ、戦後レジームの脱却という言葉をその時初めて聞いて少し面食らった。
その安倍総理はもしかしたら2020年東京オリンピック・パラリンピックまで総理の座にいるかもという話がまたぞろぶり返してきた。
長期政権を射程に入れているのかもしれない。
もしそうなると戦後最長の総理在職期間となる可能性がある。
参議院議員選挙、衆参同日選挙の可能性、憲法改正にも触れられた。
中国、韓国、北朝鮮の現状と彼らの思惑、日本との関係。
現時点で伊勢志摩サミットの最大の懸念材料は「天気」。
それはヘリでの移動があるから。
また、警備において今まで所持したことがない自動小銃を携えた警察官を報道で見ることになるはず。
安保関連法案に関連し運用開始を4月から8月に延期したことに言及され選挙前に自衛隊にもし何か問題が起きたら困る、だから終わってからという見え見えのもの。
これはいかがなものかと思う、とキッパリ。
報道に出た尖閣の中国に対する海自の対応問題。
報道された様々なニュースの裏側、背景の解説。
日本は外国から見て経済だけでなくマナーや技術力、非常に高い水準の人的資源ということでとても尊敬されているし存在感も高まっている。
まだまだ潜在能力的には伸びていく力を十分に持っている。
天安門事件の現場で水平射撃が始まった時に「ここで死ぬのかな」と死を覚悟した。
岩田先生は日本にとって2016年は『覚悟の年』になる、と仰った。
政治の過去の流れ、現状、経済も同様、さらに国際情勢や外交、安全保障といった様々な分野を関連付け総合的見地から分析しニュートラルに未来を予測。
是々非々で非常にわかり易く現場取材が豊富で臨場感、説得力があり、何より人柄と口の堅さがもたらす永年にわたりきちんと信頼関係を構築された上での密な交流関係から得る精度の高い情報を持っておられるという印象。
決して不快感を与えない語り口は人柄そのものでとても好感度が高いと思います。
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