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元財務官僚・山口真由先生のご講演を聴いてきました。

元財務官僚・山口真由先生のご講演を聴いてきました。2019/09/04

都内にて、元財務官僚、ニューヨーク州弁護士でいらっしゃる山口真由(やまぐちまゆ)先生のご講演を聴いてきました。
山口真由先生と言えば!テレビのコメンテーターに引っ張りだこですので、
ご存知の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

ご講演テーマは、「岐路に立つ日本 ~今こそ考えたい、これからの日本のストーリー~」
まず最初に、最近の出来事のうち、日産カルロス・ゴーン氏の事件を例に「日本の岐路」について考えてみる。
このニュースで注目すべき点は大きく二つあるように思う。

一つ目は、海外の反応だ。
日本の検察は拘留日数の長さが特徴としてあげられる。
森友学園問題の籠池夫妻が300日間拘留されたのも記憶に新しい。
これには多少の批判はあるものの、特別に注目されてこなかった。
しかし、外国籍の著名人の事件であること、さらにインターネットとSNSの普及により、即座に世界の目に晒され、容疑者の人権の観点から大きな批判が巻き起こった。
これは対応を誤れば外交問題にまで発展しかねないことであり、今後海外からの労働者受け入れを控える中、考えさせられるものであった。

二つ目は、国内の反応だ。
日本の検察は、精密に証拠を積み上げた上で起訴に踏み切るため、有罪率が非常に高い。
加えて、国民からの後押しを受けるための「雰囲気づくり」も重視しており、国民の側も概ね検察の「正義」にあまり疑問を呈することもなく付いてくるところがあった。
しかし今回は、SNSの意見や、報道内容においても「人質司法」について批判的な意見が大きかった。
このように、テクノロジーや価値観の変化で、今までは正解であったことが、これからは間違いになる可能性が出てきた点も注目すべきだ。

次に、最近のコンプライアンスについて考えたい。
「コンプライアンス」という言葉、経営者の方であれば聞き慣れているのではないか。
もともとは「法令遵守」、つまり、法律を守ることと訳してきたが、最近では「コンプライアンス」の中身が変わってきている。
企業は社会を今日よりも明日へとよりよい場所にしていく責任がある。
そう考えると、そうした社会的な義務に違反すること、言い換えれば、社会の空気に反することがコンプライアンス違反といわれるようになってきている。
法律を守るだけでは不十分ということである。

法律家は、不祥事が起こるたびに、それを「刑法違反」、刑法ではないけれど法律に反した「不法行為」、法律には違反していない「道義的責任」の三つに分類してきた。
もともとは、道義的責任は裁判所では解決しない法律の範疇の外と考えられてきたが、最近、この分野を無視すると問題が炎上するようになった。
法律で裁かれなくとも、道義的責任、つまり人々の感情によって裁かれる時代となったのである。

道義的責任がクローズアップされる背景には2つの理由がある。
第一に、画像のインパクト。「バイトテロ」などの例を挙げるまでもなく、スマホの普及により、誰でもどこでも動画を撮ることができるというこの社会は、感情を掻き立てるような画像を、毎日、大量に世に流す。
第二に、マスメディアの対応。マスメディアは、これらの画像を積極的に公共の電波に乗せるようになった。これによってインターネット上の炎上は、さらに次元の違う拡散力を見せる。
この昨今のメディア環境が、「1億総炎上社会」や「メディアリレーション」というキーワードとともに、具体例によって解説されうる。

この典型的な事例は「日大タックル問題」であった。
前提として、ルールに反する危険な行為は絶対に許されない事だ。しかしこの事件はこれだけでは済まされず、画像のインパクトからはじまった一連の騒動について、監督・コーチの会見での「発言」に代表される対応のまずさ、また、部内の独特なカルチャーがひとまとめにされ、世間から猛烈に批判された。
その結果監督とコーチは職を失い、更には傷害罪で書類送検された。
法律家の感覚で見ると、やや重すぎる社会的な制裁が科せられたという印象だ。

このような状況の中で、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなどの問題は、企業も研修を繰り返し、徐々に意識が広まりつつある。
しかし、「無意識」の部分はどうだろう。
聴講者の皆様には、これから先、この無意識の部分が最大の問題となることをご理解いただきたい。

「ポリティカル・コレクトネス」
これは、「あらゆる人(特に少数派)を差別せず、不快な思いをさせることがないように」ということを、表現の面で徹底した考え方である。
そして、この概念は「無意識」の言動を「差別」として糾弾しうる。

例えば、「肌色」という言葉。これは特定の肌の色を前提とする点で、そうでない人、黒色や褐色の肌の人々の心を傷つける言葉かもしれない。昨今は、肌色ではなく「うすだいだい色」というのが普通である。
また、「スチュワーデス」という言葉。この「デス」という語尾は女性を前提とする。
スチュワーデスは女性的な職業と決めつけることは、同じ分野を目指す男の子の心を砕いてしまうかもしれない。
ならば、性中立的に「客室乗務員」と呼ぶべきではないか。そうやって様々な言葉が言い換えられるようになった。

※そのほか、大坂なおみ選手やイニエスタ選手なども巻き込まれてしまったポリコレ問題の風潮から、#MetooやLGBTQなど、旬な話題を取り上げて、世界水準の「ポリティカル・コレクトネス」についてわかりやすくお話ししてくださいました💡
<詳しくはご講演をお聴きください

こうした世界の潮流に対し、日本はどうだろうか。
今まさに「ポリティカル・コレクトネス」が上陸しつつあるところといえそうである。現時点の日本の許される/許されないの線引きが変わり、「君は女子力が低いね」とか、「男なんだからこうあるべき!」といった表現には黄色信号がともりつつある。
特にカギとなるのは若い世代の反応である。新しい教育課程、多様な文化の中で育った彼ら彼女らの「ポリコレ」感覚については世界標準と言っても過言ではない。
世界からポリコレの風潮が押し寄せてきているときに、日本の組織も、今、大きく変わろうとしている。

もともと日本の企業は「家族型組織」である。社員は終身雇用を約束され、家族の一員のように企業に参加した。
身をなげうって会社の発展を目指し、その名を汚さぬように行動する。会社に任せておけば一生面倒を見てもらえたからだ。

しかし低成長の今、企業にその体力はない。
「働き方改革」で目指すのは、一律に労働時間を減らすということではなく、従業員の個人個人に、どの程度働くのか、どこで働くのか、何をするのか、など働き方を自分で決めさせ、その結果責任も自分で取ってもらおうというものだ。
これは日本に長く続いてきた秩序の変革を意味する。
私たちは今、「組織」としてではなく、「個人」として社会に向き合おうとしている。
働き方改革は家族型の組織を解体し、今後は企業に任せているだけではなくて、自分の人生の舵取りを自分でするという時代になっていく。

今、まさに、日本は岐路に立っている。
これからの「個人を尊重する社会」と、今までの「家族型社会」のぶつかり合いの中で、私たちは「家族型社会」のどこを変え、どこを残していく必要があるのだろうか。

表現の変化、世代の変化等が及ぼした「空気」の変化を中心に、日本の岐路についてお話ししてきた。
しかし伝えたい点は、今後、日本が欧米型の、表現のクリーンさを追求するあまり、問題の本質を語ることが出来なくなるような屈折した社会になることは避けるべきだと思うし、避けられると思う。

最後は「家族型社会の本質とは、組織の中に個人を縛り付けることではなくて、隣にいる誰かを慮ることではないでしょうか。つまり、家族のなかの『束縛』をなくして『思いやり』の要素を伸ばしていくことが、これから私たちが進むべき道ではないでしょうか」と、まとめられて終了となりました。

私は山口先生に12月、2月と二度ご挨拶をさせていただきましたが、
女の私でも見惚れてしまうほど、品があり、お美しく✨
また、難しい内容をわかりやすくかみ砕いて伝えてくださる知的さに、“素敵な方だな~❤”と終始うっとりでした❢

とにかく!皆様にも一度お聴き頂きたいです。
お問い合わせ、ご依頼、お待ちしております。

(文・スタッフY)

 

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