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山本 一力先生の実績紹介

2016/05/19 山本一力先生の講演を聴いてきました

2016/05/19 山本一力先生の講演を聴いてきました

川口で長年の弊社お得意様ご主催の講演会で山本一力先生「生き方雑記帳2016」と題しての講演を聴いてきました。

川口と言えば鋳物の街、そしてそれを踏まえた講演の冒頭の入り方は絶妙。

上京する直前の中学3年の頃だったと思うが、日活の映画で見た「キューポラのある街」ってどんな所なんだろうと思っていた。
当時日本中がこれから新しい国になるんだといって本当に頑張っていた。
高知も似たような街の雰囲気だった。
子供も大人も前に進むんだと思っていた時代だった。
そしてあの時代に育った人間は「人は一人じゃ生きてないんだ」ということを社会全体がしっかりと教えてくれた。

小学生の頃、やってはいけないこと、しなきゃいけないことを大事に大人が教えてくれた。

母しか居なくて自分と妹が母の細い稼ぎで市営住宅に暮らしていた。
名前は市営住宅だがバラックの長屋のようなもの。
でも皆同じようなものだったので負い目でも何でもなかった。

大人は朝起きてからずっと子供を気にしていた。
子供も安心して大人を頼ることができたし、信用することもできた。
今の社会は知らない人とは口をきいてはいけないという教育の流れになっていると聞く。
違うだろ!と思う。
これを当たり前にしていくと後に続いてくる子供たちは人を信用できないという社会で生きていくことになってしまう。
もう既に始まっている。

「弁え」はお互いが持つこと。
社会から、先生から教わった。
給食が一番のご馳走だった。
これも人が力を貸してくれたからこそ。
人が人を信用して生きていけた時代に他ならなかった。

母から念仏のようにいつもいつも「足るを知れ」と言われた。
生きていられるということがありがたいことなんだと。
そうして生きて行けば人を羨むことは無い。

時代がどう変わっていこうが変わらないものはきっとある。
親が子供に残せるものは「志」しかない
美田でもお金でもない。
そしてこれは親でなければ子に残してやれないもの。

困った時に杖となる言葉「負わなければいけない責任には法的な責任と道義的な責任の二つがある。間違っても道義的な責任を法的な責任で押し潰すな」と言われた。

一軒の家というものを考えた時に男が果たせる役と女が果たせる役は全く別物だと思っている。
男ができることはほんの少ししかない。
わかり易く言うと外で稼いできたもの全てをカミさんに預けて家庭を守ってもらう。
その役目においては親父。
もう一つ、家の柱となって家の憲法を家族に身をもって知らしめる。
この二つ以外の役目はカミさん。

従って一家の大黒柱はカミさんだと何の疑問も持たずにそう思っている。

男女同権、それはそれで良いと思う。
しかし断じて同質ではない。
女性でなければできないことは山ほどある。
同質であろうと思うことが無理がある。
母親の子を案じ続ける本能あるが故に子供は育っていくと思う。

ご自身の現在置かれている状況を赤裸々に語られ、折り合いが悪かった義母を親愛の情を込め実母のように「お袋」と呼び、義弟たちの環境を想い、ご自身のご家族が膝を患い歩けなくなるかもしれない「お袋」と一緒に暮らすことを決め、暮らし始めて色んなことが良い方向に変わっていき、その結果「天ぷらばあちゃん」が完全な家族になり、皆にとって大変良かったと話された。
いみじくも仰った「案ずるより産むが易し」。
これから日本で起こり得る家族の問題の理想的な解決方法の一つを提示されたのではないかと思った。

年代的に亭主関白の典型かと思いきや、全くそうではなく考え方が柔軟で女性、母の凄さを認め称賛し、男は絶対に勝てないと言い切る潔さ。

「足るを知ると同時に、知らない所で人が何かしてくれているということを弁えることが大切」と講演を締められた。

日本人とは、親とは、父とは、母とは、弁えるとは、足るを知るとは、痛み分けとは、など多くの不変で私たち日本人の誇りに通じる素晴らしいものを決して押しつけることなく自然に再認識させてもらえた素晴らしい講演でした。

低音で良く通る聴き易い声質、目を瞑ると情景が浮かぶ作家らしい秀逸な表現に包まれ、大変心地良く自然と心に響き染み入ってくるまさに「一力ワールド」です。

おしどり夫婦を絵に描いたようなご夫妻で、いつも通りご一緒に会場入りされ、奥様が甲斐甲斐しく先生の身の回りのお世話をされ、主催者の皆さん、そして私ごときにまでも大変気遣って下さいました。

山本先生は控室で講演直前に主催者の方々へ「どんなことでも講演の中で話して欲しいことがあれば仰って下さい」と言われ、いくつかリクエストを頂き、それを自然な形で、しかも即興で講演の中に取り入れられお話しされていました。
テーマが「雑記帳」とはいえ構成力はもちろん、その知識の広さのみならず深さもあり、直木賞作家の凄さを痛感しました。

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