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古賀茂明先生の講演を聴いてきました

古賀茂明先生の講演を聴いてきました2015/07/07

2月19日(木)に都内で弊社お得意様ご主催の講演会で古賀茂明先生「日本は再生できるのか? ~政府に頼らない生き残り方~」と題しての講演を聴いてきました。

ちゃんと話すと90分では全然足りない。
最低7~8時間はないと、と言われ場内をライトな笑いで柔らかい空気に変えた。
限りある中で「アベノミクス」「イスラム国と絡めて外交・安全保障」「原発、日本のエネルギー」「自民党がどうなるか」「政治家や官僚の実態」など時間があれば取り混ぜて触れたい。
ただ皆さんのお顔を見ているとあまり真面目な話をしてもどうかと思うので硬軟混ぜてお話しします。

まずは「経済」の話。
海外から見ると日本の労働力は素晴らしい。
日本人はともすれば死ぬまで働くので絶対に敵わないと思っている。
また技術力も世界最高レベル。
日本は政府にはお金が無いが企業には余っている。
本来企業は伸びている時に仕入れを増やしたり、運転資金が増えたりして借金が徐々に増える。
しかし現状ではずっと以前から企業の借金が減っている。
つまり質の高い労働力があり、世界最高水準の技術を持ち、企業にお金がある。
この状態を見ると必ず成長するに違いないと思うのに成長しない。
何かおかしい。
何がおかしいのか?
「仕組み」がおかしい。
全部揃っているのに力を発揮できない。

アベノミクスが全部悪いわけではないが良いことばかりでもない。
円安になり株価は上がっているが、株価をドル換算すると大して上がっていない。
石油を始め日本は色々と輸入しなければならないが、取引にはドルを使うので円安になると円をたくさん持っていても価値は小さくなる。
日本の富が失われている。

安倍内閣は「改革断行内閣」と言ってきたが実態はどうか?
一例として農業改革の話。
「全中(全国農業協同組合中央会)解体」と花火を上げ日本中の地域農協の監査権限を持つ全中を悪者にし、権限を取り上げようとしたら地域農協は全部反対した。
なぜか?
本来監査は一般企業であれば監査法人が行うが農協の場合全中が行っている。
今まで緩い監査を行っていたからやってこられたのに一般の監査法人が入ることで立ち行かなくなり破綻ということになるかもしれないからそうした。

そこで裏では全中側に「監査部門を切り離して別法人を作りなさい」と。
その監査法人か一般の監査法人のどちらかに監査して貰えば大丈夫なようにした。
そうすることで今まで通りの監査をしてもらえる地域農協も監査業務を一般の監査法人に奪われると思っていた全中も賛成した。
つまり今までと何も変わらないということ。
本質的な改革はできていない。

また、「減反廃止」と声高に言うと農協は「反対!」と大騒ぎになる。
すると新聞がまた「減反廃止は大変だ」と書く。
だが終わってみると何も変わらないように手当てをしてくれた制度に落ち着く。

だから農協が自民党を一切支持しないということには絶対にならない。

財政再建の方法
成功の法則は痛みを伴う改革、経済成長、増税の順でやることでしかない。

安倍内閣は安保法制に取り組んで成立させようとしている以上官僚と組まなければならないので改革はできない。
しかしやっているというフリはしなければならない。

マイナンバーは賛成。
上手く使えば庶民の為の武器になる。
例えば政治家の全ての取引にマイナンバーを付けてさせると相当クリーンになる。
また大反対しているのはお医者さん。
カルテから診療報酬を全て把握される。
そして健保組合がチェックするとどうなるか?
同じ人の名前で同じような病名で違うA、Bという病院に掛かったとし、B病院と比べなぜA病院はこんなにお金が掛かっているのかを調べたら不要な薬をたくさん出していた、あるいはしなくてもいい検査をいっぱいやっていたということがわかってくる。
結果、医療費の削減に繋がるがお医者さんの所得は下がる。
だから医師会がどう言って反対しているか?
「皆さん大変ですよ、マイナンバーが付くとどういう病気でどんな薬を飲んでいるか全部登録されますよ。そうすると覗き放題になるんですよ。とんでもないでしょう」と言う。

原発は「危ないのでは?」と「核のゴミの処理ができないのでは?」の二つが問題。
原発を止めた方が良い理由は止めた方が日本は成長できる。
原発はコストが掛かり過ぎ。
日本は原発に頼りすぎた為に再生可能エネルギー分野で完全に遅れてしまった。
今ならまだ間に合うが原発を再稼働することで安倍政権はそれを捨ててしまった。

官僚は元々悪い人がたくさんいるわけではない。
皆普通の人。
だが眼前に二つ道があり一方は人の為になる、でも自分は損をするかもしれない、他方は国民の為にはならないが自分は得するという二つの内どちらを選ぶか?
例えば道に10万円入った財布が落ちていて誰かが見ていたら誰もが迷わず警察に届けるでしょう。
しかし誰も見ていなければ本当に困っているかもしれないけれどわからなければいいやとポケットに入れ自分のものにしてしまう人もいる。
他方の道を選ぶ官僚は「わからなければ何をやってもいい」と思っている。

官僚には3つのタイプがある。
1つ目は「消防士型」
人を助けてありがとうと言われたい人。
処遇に不満は持たない。
2つ目は「中央入り官僚型」
お金の為ではない。
人の為でもない。
自分が一番優秀であるということを証明する為に入る人。
この人たちは名誉、地位、権限を求める。
威張れてチヤホヤされることが一番嬉しい。
最後は「安定型」
面倒臭いことに関わりたくない、逃げる。
失敗したくないのでたらい回しにする。

官僚の理想は当然「消防士型」
官僚が全員このタイプなら凄く良い国になるが残念ながら現在の日本では“絶滅危惧種”になってしまっている。
「私もその一人」と笑わせながらこれをどう増やすか、増やせるのは政治家。
「この続きはまた来週」と冗談で終えられた。

さすがに改革派の第一人者である元中央官僚の話は興味深い。
随所に笑えるところもあり、決して堅い話のオンパレードでは全くないのでもっと聴きたいと余韻が残る。
「消防士型官僚」だけでなく「消防士型政治家」もいかに増殖させるかを考えなければならないと思った。

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